一昨年、2015年の秋に父が拾い集めた臭木(クサギ)の瑠璃色の実を冷凍させておきました。父は散歩の達人で、何気なく「実で鮮やかな青色が染まるのは臭木の実だけらしい。小田原ではまだ見つけられない」と話すと、数日後には臭木の実を集めてきてくれるという頼もしい父。ひそかに植物ハンターと呼んでいます。
今回もインド木綿のガーゼストールを2枚染めてみました。絹(シルク)だと鮮やかな青色に染まるそうです。実を潰さずに、1番液を漉して写真のような綺麗な液がとれました。実の量は、染める布の半量〜2倍程度の量を用いるのですが、今回は布の重さと同量の実を2回煮出しました。沸騰させて15分、晒で漉して染液をとります。鮮やかな緑青色の透明な染液がとれました。
2番液からは、実を潰して煮出します。まだまだ写真のような綺麗な液がとれました。
たんぱく処理し、地入れした布を染液の中で泳がせます。70℃まであげて30分浸しました。クサギの実には高級脂肪酸が含まれていて、それがしなやかな肌触りになるそう。ストールが青緑色の染液をぐんぐん吸い、みるみるうちに染液が薄くなっていきました。
臭木染めは、媒染が必要ないそうです。染め終わったら、水洗い→脱水→陰干しで、完成。
写真ではうまく色がわからないと思うのですが、右の色は瓶覗色(かめのぞき)です。左の色は青磁色(せいじ)になりました。両方ともなんとも言えない美しい色に染まりました。
臭木は川辺や山の中に生えていて、葉にさわると匂いがしますが、カメムシに似たような青臭い匂いです。煮だした時の匂いは、煎った大豆のような香りがしました。夏に白い花を咲かせ、実がなるのは秋です。冷凍保存できるので、便利な染材です。今年の秋は臭木拾いにあちこち歩きまわろうと思います。